市民が主役の奈良市政をめざす仲川げんの活動日記。

仲川げん

2013年4月アーカイブ

先日、中室教育長・杉江教育委員長とこれからの奈良市の教育についてじっくりと話す機会がありました。教育長は中学校の校長経験者ですが、組織マネジメントの視点と進取の精神に溢れた方で、教育政策についての価値観や危機感が私と非常に近く、世間で言われるような市長部局との齟齬は全くと言って良いほどありません。また委員長は長年、大学でミクロ経済学を教えてこられた学識経験者ですが、教育はもちろん、中国古典の研究者として論語に関する書籍を出されるなど、幅広い知見にいつも驚かされます。国でもようやく教育委員会制度の見直しが進み出しましたが、最後は人(誰がなるか)、に依る部分が大きいと思います。

資源の無い日本にとって「最大の資源は人材」とよく言われますが、今後は新興国も含めた激戦の中で、よりグローバルに戦うことのできる人材が求められています。2月に参加した、経済人から研究者・政治家までが一同に集まる「日本版ダボス会議」と呼ばれているG1サミットでも、「2年ほど前からハーバード大学を受験する日本人が急増している」という話題が出るなど、教育行政の課題は経済界にとっても非常に関心の高いテーマとなっています。

これまで日本では長らく、「受験生は東大を頂点とした偏差値ピラミッドの中で少しでも上をめざし、仮に海外の大学に留学するとしても、まずは日本の大学に入ってから」という固定観念がありました。しかし世界の大学ランキングでは東大の9位を最高に、ベスト100には5校が入るのみ(英THE誌)。当の東大も秋入学への全面移行をめざすなど、大学側も世界を意識せざるを得ない状況になっています。受験生の海外志向は、世界に取り残される日本の教育に見切りをつけ、自力で国際競争を勝ち抜く力を身につけようとする姿とも言えます。

私は「教育再生なくして日本の再生は為し得ない」と考え、特に公教育の「質」と「信頼」を高めることを重要課題の1つと位置付けています。具体的には、現在奈良市では通常の県費教員に加え、約100名の市費教員を独自に雇用し、1クラスの定員を小学校低学年では30人、高学年では33人を上限とするきめ細かな教室運営を行っています。

また学力調査についても国による学力基礎調査は小6・中3だけが対象で、しかも昨年度までは一部の学校のみを対象とする抽出調査しか行っていない状況。これでは子どもたちの学習到達度を定期的にモニタリングすることも、時系列で分析することもできません。そこで奈良市では昨年度から独自の取り組みとして、まず小4・中1を対象に追加、さらに今年度からは小4から中3までの6年間・全生徒を対象に毎年実施することにしました。これにより、子どもたちの学習到達度を6年間追跡することが可能になると共に、教員の指導力を定期的にチェックし、研修にフィードバックすることもできます。

教育はよく、「効果がすぐに見えるものではない」と言われますが、その「言い訳」の下で効果の乏しい教育を漫然と続けていては、日本が世界に取り残されるのは自明です。先日、ある経営者の方から「いくら日本人を採用したくても、これだけ海外の人材と差があると、もはや日本人を採用し続けるのは困難だ」という話を聞きました。教育界が取り残されている間に、経済界には大きな危機感が広がっています。

教育は聖域だ、とも言われますが、私は「教育の為の教育」ではダメだと思います。高校や大学を卒業した時に、どんな能力を身につけておくべきか?いま社会や世界はどんな人材を求めているか、をしっかりと捉え、そこから遡って各段階での教育に落とし込む必要があります。「人育ては街育て」と言われますが、これからも「教育改革を通したまちづくり」に向け、新しいチャレンジをどんどん仕掛けていきます。

医師・看護師は1. 5倍に
 市民の命を守る地域医療については重要課題として取り組んできました。まず市立病院の医師・看護師を4年間で50名増員するという公約については、この4月現在で医師が36名増の103名、看護師が79名増の270名となり、目標の2倍以上の成果を達成しました。また老朽化した市立病院は病棟を建替え、今年から最新の設備を備えた新病院に生まれ変わりました。今年lま同じく老朽化した市役所隣の休日夜間応急診療所を柏木町に移転建替を進めており、来春にはオープンする予定です。さらに今後の看護師重要を踏まえ、この春には市立看護専門学校を開校するなど、将来を見据えた医療体制の充実に取り組んでいます。

救急受入不能率は大幅改善、94%が受入可能に
 また医療分野では、いわゆる「たらい回し」問題が昨今指摘されており、救急医療体制の充実が急務となっています。受入要請のあった救急患者をどれだけ断ったかを示す受入不能率は20年度には17.2%でしたが、24年度には6%と大幅に改善しています。また医師が救急車に同乗するドクター力ーも22年より導入しており、いざという時に「頼れる地域医療」をこれからも目指していきます。

 資源の無い日本にとって最大の資源は人材とよく言われますが、今後は新興国も含めた激戦の中でよりグロ ー バルに闘うことのできる人材が求められています。先日参加したある会議で、「2年ほど前から日本からハーバード大学を受験する人が急増している」という話題が出ました。これまで日本では長らく、「受験生は東大-京大を頂点とした偏差値ピラミッドの中で少しでも上をめざし、仮に海外の大学に留学するとしても、まずは日本の大学に入ってから」という固定観念がありました。しかし世界の大学ランキングでは東大の9位を最高に、ベスト100には5校が入るのみ(英THE誌)。 当の東大も秋入学への全面移行をめざすなど、大学側も世界を意識せざるを得ない状況になっています。受験生の海外志向は、世界に取り残される日本の教育に見切りをつけ、自力で国際競争を勝ち抜く力を身につけようとする姿とも言えます。

 私も「教育再生なくして日本の再生は為し得ない」と考え、教育の「質」と「信頼」を高める己とを市政の重要課題の1つと位置付け取り組んでいます。現在、奈良市では通常の県費教員に加え、約100名の市費教員を独自に雇用し、きめ細かな教室運営を行っています。また学力調査についても小4から中3まで毎年実施し、子どもの学習到達度と教員の指導力チェ ックを同時に行います。さらに全米就職ランキング1位の教育NPO「Teach For AmericaJの日本組織と連携し、民間経験のある若手教員を現場に投入するなど、全ての子どもに最善の教育環境を用意する、という考えの下、新たなチャレンジに取り組んでいます。

2013年4月 8日 03:01 [日記]

JC全国大会

日頃から地域の為にご協力頂いている奈良JCが、今秋念願の全国大会を奈良に誘致されます。先日はプレイベントとして100年会館で吉本新喜劇が行われましたが、私も地元市長として、しっかり出演してきました。普段は街頭演説や式典挨拶など、いずれも「ピン」で登壇することが専らですが、今回のように「かけ合い」、しかも漫才は(当然)初めてで、ものすごく緊張しました。私が恐る恐る池乃めだかさんにボケている姿は会場に来られた方しか見られませんでしたので、その代りに増尾理事長との対談記事を掲載させて頂きます。
(画像をクリックすると、大きな画像でご覧いただけます)


mahora_taidan_L.jpg
2013年4月 7日 08:42 [奈良市政][日記]

攻める農業

新年度の組織改編では農林課の中に新たに「攻める農業係」を新設しました。これまでの農政と言えば補助金を前提とした保護行政志向の強いイメージがありますが、安倍政権においても重点事業と位置付けられているように、いわゆる6次産業化や海外市場への積極的な展開が必要な時代に来ています。奈良市においても地元で採れた農産物を地元で消費する「地産地消」だけでなく、大和野菜やヤマトポーク、大和肉鶏などのブランド食材や、お茶や日本酒、米・いちごといった新たな戦略商品を普及させ、地元農業と経済成長につなげたいと考えています。

先日、ベルリンで開催された世界最大の観光博覧会に出展した際も、ドイツの日本食レストラン等へ大和茶や日本酒のセールス活動を仕掛けてきました。また米に関しては奈良県産のヒノヒカリが3年連続で最高位の特Aランク(日本穀物検定協会調査http://www.kokken.or.jp/ranking_area.html)を獲得するなど、評価が高まっています。元々、奈良の農業は生産性が高いことで知られており、明治後期から大正にかけては反収(10アール当りの収穫量)が全国一でした。また最近では東部や都祁地域の米を、大阪や京都だけでなく東京の料亭も買い付けに来ていると聞きます。

しかし、一般的にはまだ「知る人ぞ知る」状況で、地元の奈良市内ですら十分な認知と評価を受けているとは言えません。ブランド力を高めるには、まず地元の評判や口コミが重要ですので、今後さまざまな仕掛けを打っていこうと考えています。新しい「攻める農業係」では、農家だけでなく流通・観光・メディア等、幅広い分野と連携しながら、奈良の魅力向上に取り組んで行きたいと考えています。

 

2013年4月 4日 22:17 [日記]

新しい仲間たち

shinsai1.jpg

sinsai2.jpg

新年度最初の仕事は新規採用職員への発令。今年は新卒・経験者採用を含む105名の新たな仲間を迎えることになりました。本市では新採は27歳まで受験できますので、これまでも民間企業等を経て入庁する職員が多数いましたが、さらに即戦力として高度な職務経験を有する人材を確保するために、就任2年目より職務経験者採用を行っています。この試験では従来の受験資格をさらに10歳上回ることができるため、この春入庁する職員では最高が38歳となります。

今日の帰り道にちょうど一緒になった新採職員からは「いわゆる同期入社の中で、いろんなキャリアの人がいるのは刺激になる」と話していました。その3名の職員も、1人は他の自治体からの転職、2人は民間(小売業と警備会社)からと、ユニークです。他にも航空会社やテレビ局、金融機関やFMのDJなど、毎年多彩な戦力が加わっています。

私はこれからの行政は、今までの当たり前を捨て、現場目線で公共サービスを作り直す(リニューアル)する能力が必要だと思います。さらに言えば、金をかけずに知恵で勝負することも必須です。もっと言えば、街という大きな装置を最大限活用して、しっかりと稼ぐ発想が求められていると考えています。先日、佐賀県武雄市の図書館リニューアルについてはツイッター(@nakagawagen)でも書きましたが、従来は「できない」「難しい」と制約要因を先に並べて諦めてしまっていた事も、「やれる方法を考える」という視点で取り組めば必ず新しい解が見つかることを示してくれたと思います。

この春、新たに市役所の門をくぐった若者たちが、定年を迎えるのは2050年前後。既に奈良市にはリニアが走り、観光の動線はもちろんの事、あらゆる街の状況が変化しているはずです。新戦力の皆さんには、変えるべきものと守るべきものをしっかりと見極め、しなやかに発想することを期待しています。

2013年4月 1日 23:46 [奈良市政]

人事異動と組織

今日から新年度が始まりました。奈良市ではこの春、管理職295名を含む計911名の異動を発令しました。今回の異動にあたっては、単なるローテーションではなく、①限られた人員の中で組織が一丸となって効率的・効果的に動ける体制の確保、②女性や若手職員の積極登用、③新たな市民ニーズへの柔軟な対応、の3本を柱として取組みました。

まず①については部長級の「統括官」を新設し24名の部長級職員の取りまとめを担い、縦割り組織に横串を挿すことにします。これは部長と副市長の間のポストであり、民間企業で言うところの専務にあたります。

次に②としてはまず、他市より圧倒的に遅れてきた女性登用をさらに進め、管理職に占める女性比率を11.8%に引き上げました。ちなみに私の就任前は7.5%でしたので大きく改善しています。女性登用を進めようとすると、組織内から常に出てくるのが「女性だけを優遇するのであれば逆差別だ」という声。もう1つは「男性社会の中で女性管理職が孤立して潰れてしまうのではないか」という意見。私はどちらも的を射ているとは思わないし、どちらかと言えば一昔前の「昭和の発想」だと感じます。確かに、当の女性職員も入庁以来、圧倒的な男性主導型の組織で仕事をしているとそれが当たり前のように捉えてしまう部分はあると思います。しかし周りを見渡すと民間だけでなく公務職場でも性差を昇任の判断材料としない事は、もはや当たり前の時代になっています。優秀な人材は性別や年齢、もちろん学歴に関わらず登用することが組織にプラスとなり、市民福祉の最大化につながると私は考えています。とはいえ、全職員に締める女性比率は13.2%ですので、11.8%も決して高いものではありませんので、さらなる改善に取り組みたいと思います。

もうひとつ、女性登用を進める理由はダイバーシティ戦略です。ダイバーシティという言葉は最近よく使われますが、性差だけでなく障害の有無や宗教・人種など、あらゆる面で多様性を論じる際に重要なキーワードです。行政だけでなく、これまで日本の多くの組織では、「年輩・男性・日本人・健常者」がほとんどの意思決定を握ってきました。しかし実際の消費者やサービス利用者はもっと多様で、そこをマッチングさせる必要があります。市役所内で言えば、専業主婦の妻を持つ男性職員が考える人事管理と、共働きで要介護の親を持つ女性職員がイメージする「働きやすさ」では大きな差が生じます。男性・女性、どちらか一方を強調するのではなく、あくまでもバランスを取る為の方策として、今後も積極的に取り組んで行きたいと思います。

また従来は課長の平均年齢が56歳、部長は退職間際にしかなれないと言われ、管理職としての経験を活かせぬまま、定年を迎える事が多いという問題がありました。そこでここ数年は各ポストに昇格できる年齢条件を緩和し、有能な人材は若くても積極登用する道を開いています。

最後に③では、新斎苑やクリーンセンターなどの喫緊の課題に対応する専門部署の設置や、新エネルギーや奈良町振興、攻める農業といった新たなニーズに対応する組織を設けました。特に、従来乏しかった「稼ぐ自治体」としての機能強化を図り、経済活性化や税収増につなげて行きたいと思います。
Twitter Facebook  Instagram
このページの先頭へ