2009年11月アーカイブ
奈良市の事業仕分けが昨日から始まりました。今回は国や他の自治体の仕分けに携わる「仕分け人」と、公募による市民仕分け人、計15名が3つの会場に別れ、60事業を対象に市民の視点で要・不要を判定します。私は冒頭の挨拶で、今回の事業仕分けの目的を2点お話しました。一点目は3000億円という膨大な借金を抱えた奈良市の財政を早期に再建し、次の時代に引き継ぐためには徹底したムダの洗い直しが必要であること、もう一点は全てを行政が担う時代から、本当に行政がすべき事業に集中特化し、市民を始めとする民との協働や域内分権を図る時代へと質的転換が求められている、という点です。今回は県内初の実施であること、また連日、国の事業仕分けの様子がメディアで報道されている影響もあり、予想を超える多数の参加者がお越しになりました。午前の段階で既に用意した資料が無くなり、大慌てで資料の増刷を手配、又各会場でも立ち見が続出したため、一時間目が終わった段階でパイプイスを追加するなど、事務局は大慌てで対応してくれました。
初日の結果はHPに速報版を掲載していますので、ぜひご覧下さい。http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1254196943321&SiteID=0000000000000
今月4日に市立奈良病院にて、「がん医療の現況と課題」と題した勉強会を開催しました。講師は日本医療政策機構理事でがん政策情報センター長の埴岡健一先生です。奈良県はがん対策推進計画の策定が日本で一番遅かったこともあり、その遅れが指摘されていました。しかし、10月にはがん対策推進条例を施行し、最後発の利を活かした巻き返しに取り組んでいます。埴岡先生はそのWGメンバーでもあり、今回は市立病院関係者を対象にご講演頂きました。奈良の特徴としては胃がん、肺がんの死亡率が高く、かつそれらの検診を受ける人が特に少ないそうです。しかも、要精密検査となった場合の再検査受診率が低いとの事。またがんの緩和ケア病棟であるホスピスは施設数・ベッド数共に全国平均の半数ということもあり、今後の取り組み強化が必須と指摘されました。また、1つの病院が全てをカバーするのではなく、病院ごとの得意分野を活かし、地域医療全体としての役割分担をコーディネートする必要があること、患者・議会・行政・医療・民間(市民)・メディア・研究者といった多様な協力者が不可欠である(七位一体モデル)と仰いました。本市でも、現在立替計画が進んでいる市立奈良病院を拠点に、がん対策のモデル都市をめざそう!という先生からの提案に、多くの参加者から期待の声があがっていました。
11月7日(土)で市長就任から100日を迎えました。無名の新人がわずか100日ではありますが、市長という重責を務めることができましたのも、数限りない多くの市民の皆様のご支援やお力添え、職員の協力があって初めて成り立つことだと、改めて感謝申し上げます。
100日は節目と言いますが、私もこれを機に、常に新鮮な気持ちで全力投球していこうと意を新たにした次第です。
就任一 ヶ月後には解散総選挙が行われ、 9月16日には民主党による鳩山新政権が発足しました。
一部の利益を追求する硬直化 した官製利権政治から、民主主義の原点である市民 ・ 国民が主役の新 しい政治体制を実現する時がやってきました。
'95年の地方分権推進法施行以来、これからは地方の時代であると言われて久しい訳ですが、実際には地方に流れる財源は絞りに絞られ、厳しい経済 ・ 雇用情勢と相まって、税収も右肩下がりという現状があります。
このままでは「市民の暮らしを守る」という最低限の行政の責任が果たせなくなる恐れがあり、先日松山市で行われた中核市長会でも、国に対しより大きな財源 ・ 権限の移譲を訴えてきたと こ ろです。
一方でこれまで重厚長大で族議員による口利きが横行していた霞が関においても既にダムや高速道路等、費用対効果の薄い事業からの撤退、後期高齢者 ・ 障害者自立支援など、 利用者の評判が良 く なか った施策の転換等、政治主導のダイナミックな改革が着手されています。国も奈良市も、これまでの当たり前を今一 度、ゼ口ベー スで見直 し、 政治が本当に市民の暮らしに寄り添っているかを確認する必要があります。
私はこの100日の問、職員に対し「行政は市民の役に立つことが生業となる究極のサー ビス業」 であると事あるごとに訴え、事業仕分けやタウンミ ー ティンゲ等を通して徹底した情報公開と予算 ・ 政策の立案段階から市民に「見える」市政の実現に取り組んでいます。当然、マニフェスト事業を始めとする様々な改革に取り組む中では、これまでの前例踏襲を打ち破ることへの強い抵抗や有象無象のしがらみがあり、それらと真正面からぶつかることもありますが、これまでのような単なる利害の調整にとどまらず、長期的な視点で市政の方向転換を図っていくことが、新人市長に与えられた大きな役割であると考え、引き続き努力していきたいと思います。
昨日から2日間、松山市で行われている中核市サミットに出席しています。今回のテーマは「結束・中核市~中核市から日本を変える~」、全国41の中核市から首長が集まり、国への提言や今後の地方分権のあり方について議論を行います。初日は会議に先立ち、私の所属する中核市制度研究プロジェクト会議があり、宮崎・大分・長崎・高松・東大阪・岡崎・大津・川越の各市長とともに参加しました。今後の分権如何によっては中間自治体である都道府県が廃止される可能性があるにもかかわらず、昨今の分権論議の主役が都道府県知事であることへの違和感や、市民・国民の暮らしに最前線で直接携わる基礎自治体の担うべき新たな役割等について話し合いました。また私たちのメンバーから釘宮大分市長が総務省の顧問(地域主権関係)に就任されたこもあり、今後の提言活動についても積極的な意見交換を行いました。午後からは4つのテーマで分科会があり、私は「住民主体のまちづくり」に青森・豊田・高槻・東大阪・下関・高知・長崎・宮崎の市長と共に登壇、「分権についての基本的考え方と具体的施策」というテーマに対し、国・都道府県・市区町村の縦の分権に加え、最前線である市区町村の域内分権(横の分権)が必要である点、その際には主役である市民目線の地域主権像を描く必要がある点を指摘しました。また具体事例として今年から施行した「奈良市市民参画と協働によるまちづくり条例」や、現在展開中の「市民がつくる第4次総合計画」(まちづくり市民会議)について紹介、企画立案段階から市民が参画できる仕組みやそのための情報公開について、また奈良市のめざす住民主権について紹介しました。各地からの事例報告も多岐にわたり、非常に参考になりました。