■人と自然と歴史の街
奈良は歴史の街であると同時に、人と自然が共生する街でもあります。98年に世界遺産登録された「古都奈良の文化財」でも、社寺を中心とする歴史・文化そのものの価値に加え、周辺環境の保全が高く評価されました。歴史と自然が一体のものとして、今日までつながっている様子は、まさに世界的な価値があるといえるでしょう。しかし近年は、車の排気ガスによる大気中の汚染物質が世界遺産にダメージを与えたり、毎年100頭近い鹿が交通事故に遭うなど、必ずしも人と自然が共生できているとは言えません。
■持続可能な観光の形
一方、奈良の基幹産業は観光業ですが、修学旅行に代表されるこれまでの大量誘客・大量消費型から、個人旅行者を中心とした高付加価値・低環境負荷型に変わろうとしています。観光業というと、ホテルや旅館、土産物だけのイメージがありますが、農産物の供給から土産物の製造、ホテルの改修から印刷まで、その範囲は実に幅広い産業にまたがります。
他府県では大規模工場誘致が産業振興策の中心ですが、歴史と自然の街である奈良では、やはり自然環境にも配慮した持続可能な産業として、新しい観光の形を探るべきではないでしょうか。
2009年6月アーカイブ
慢性的な医師 ・ 看護師不足
奈良では大淀や生駒の救急搬送事件をきっかけに、 いわゆる「たらい回し」が社会問題として取り上げられています。 また3月に総務省から発表された調査では、救急車を呼んだのに受入機関が見つからず、結果としてたらい回しになったケースが日本で一番高いととが分かりました。 急なケガや病気で、困ったときに、 安心してかかれる医療機関がないととは、 私たちのくらしの根幹に関わる大きな問題です。 しかし病院では慢性的な医師・看護師不足で、 病床がフル稼働できない状態も指摘されています。 市内では市立病院で42名の看護師不足が生じているほか県立奈良病院でも深刻な看護師不足により、 この4月から一部病床を閉鎖せざるを得ない状況に陥っています。この先、 安定した地域医療を守るには、 早急に医師 看護師を確保する必要があります。 そのために、ハー ドな勤務体系の緩和や、子育てで職を離れた人材の復職支援など働きやすい環境を整えるととが重要です。
ずっとこの街で
一方、 病院以外で看護師に対するニーズが高まりつつあるのが福祉・介護分野です。 人生の最期を住み慣れた自宅・地域で迎えたいという願いを、 地域の医療・ 福祉・介護の連携により実現しようという動きが進んでいます。 その1つが2006年にできた「小規模多機能型居宅介護施設」ですが、 人材不足もさることながら、経営が厳しく、 市内でも1ヶ所しか開設されていません。 安心して最期まで
で暮らすことができる医療・福祉体制の整備が今、 急務です。
■奈良市の子育て環境
私はこれまで、子ども・子育て分野の活動を続けてきましたが、保育所が満員で子どもを預けるところがない、地域に子どもの居場所がない、教育費が高くて苦しいなど様々な悩みを聞いてきました。奈良市の合計特殊出生率(一人の女性が産む子どもの数)は1.1人と、全国平均の1.34人を大きく下回る一方、学童保育の利用者がこの10年で1.6倍に増加し、一部の学校では過密化するなど、少子化にも関わらず一人ひとりの子どもが大切にされていない現状があります。また日本は先進諸国の中で、GDPに占める子ども・教育予算が3.4%と最も低く、政策的な優先順位が低いことが指摘されています。ここ奈良市でも教育予算が毎年削られ、この10年で半減しました。
■子どもに優しい街
一方、国連では、「子ども第一主義」を掲げ「子どもが幸せかどうか」を、その国の成熟度をあらわす究極の指標だとしています。今、話題のPISA型基礎学力の向上はもちろんですが、遊びの中から学んだり、地域との関わりから社会性を身につけるなど、子どもが大人に成長していく上で必要な環境を、私たちがしっかりと守っていくことが重要です。
子どもに対する行政の支援は、ともすれば有権者である高齢者対策に比べ後回しにされることがあります。しかし、子どもの視点を活かしたまち
づくりを行うことは、今の政治に次世代の声をしっかりと反映することでもあります。仲川げんは、子ども目線を大切にして、これからの奈良像を皆さんと一緒に描いていきます。
私は政治家を志す前に、 ある中学生からこんな疑問をぶつけられました。 「なんで、大人たちは借金をしてまで無駄なものを造りつづけるの?私たちの時代になるまでに、ちゃんと世の中を直しといて!」確 かに、私たちはこれまで、目先の問題や利益にばかりにとらわれ、子どもや孫の世代にどんな社会を残すのかという議論を後回しにしてきました。 今、奈良市には総額3,000億円近い借金があり、返済するだ けでも30年以上かかると言われています。 さらに毎年、200億円近い新たな借金が増え続けており、もはや首が回らない状態です。
私は今の時代を預かる1人の大人として、このままの状態を放置してはいけない、なんとしても次の世代に、良い状態で社会をバトンタッチしなければ!と強く感じました。 今こそ、これまでの前例踏襲やしがらみで肥大化した行政をスリム化し 一円たりとも税金を無駄にしない自治体経営が必要です。 子どもたちから「前借り」したお金で、 不要不急の箱モノをつくる古い政治と決別し、 限られた予算の中で知恵を絞り、 優先順位をつけて取り組んでいくととが重要です。私はそんな「市民の当り前」が通じる奈良市をつくっていきたいと思います。