市民が主役の奈良市政をめざす仲川げんの活動日記。

仲川げん
2017年9月 6日 15:30 [奈良市政]

職員不祥事への対応

MBSのvoiceによる、本市職員が病気休暇中に妻の経営するプールの売店で働いていたとの報道について、私の考えをお伝えします。この問題は市でも約1カ月前から情報を得、独自に調査を進めていた事案です。今回の問題が通常の不祥事と異なるのは、本人も取材に応えていた通り、当該職員に精神疾患の診断書が出ており(本人も公表を了解済)、外見だけでは一概に健康か否かが判断出来ないという点にあります。仮に「病気で休んでいるのに元気そうじゃないか」という短絡的な批判が高まることは、心の病を抱える多くの方々に何よりも辛い事だと思います。そのような事情もあり、市としては特に慎重に情報収集を進めていた矢先の今回の報道でした。私はこれまで8年間に渡り、職員不祥事にはかなり厳しく対応してきましたので、問題があれば見逃す事は絶対にあり得ません。
(これまでの私の取り組みについてはホルグの取材記事をご覧ください http://www.holg.jp/interview/nakagawagen/

一方で、市の調査に対し職員は、賃金さえもらわなければリハビリ中の家業従事は問題ないと認識していたようで、これは公務員の兼業禁止ルールに違反する恐れがあります。地公法では「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」とされており、無報酬での従事については直接的な定めがなく、市の服務規程でも同様。しかし皆さんがお感じの通り、社会常識として理解を得られるかどうかは別問題であり、私もそのように思います。また今回の従事が精神疾患の病気休暇中における加療の範疇なのか、それとも家業の手伝いが主目的かどうか、は今後の調査で明らかにしたいと思います。

また詐病の可能性があるか?という指摘(当然ながらこれは本人が否定している)については、通常どの組織でも、医師の診断書を添えて病気休暇を申請してきた場合には承認しない理由はほぼないと思います。ただし、明らかに申請内容が不自然で誰が見ても疑義があるような状態であれば、診察した主治医から意見を聞く、もしくは市の指定する公的医療機関や産業医によるセカンドオピニオンの取得を義務付けるという方法があります。後者のダブルチェックに関しては従来の制度にはなかったので、今回の問題を踏まえて新たに制度化をすることにしました。ただ、難しいのは心の内面に関わる疾患についてはよく本人の訴えも聞いたうえで丁寧に判断しなければならないと思っています。

その上で、問題アリ、となった場合には当然、外部有識者で構成する「奈良市職員分限懲戒審査委員会」において処分の要否や軽重を諮ります。ちなみに、本市の懲戒審査委は、5名の委員のうち警察OBの法令遵守監察監を含めると4名が外部からの登用です。他市では未だに市職員のみで構成されている事も多い中、いわゆる身内びいきがないよう公明正大に審査しています。

市民の皆さんからすれば、疑わしきは即罰則を、という声があがることもよく理解できます。一方、奈良市が過去にvoiceで報じられた中抜け事件では、明らかに現場を押さえた映像があるにも関わらず、最後までMBSがモザイクを外さなかった事により、被疑職員は否認。結局、最高裁まで争いましたが奈良市が敗訴し、懲戒処分が無効になるという事例がありました。この経験から、公益通報等により不祥事の疑いが生じた際には、必ず裁判でも勝てる証拠素材の収集を徹底するように方針を変えました。昨年、逮捕→懲戒免職になった別の事件では、約一年間にわたり警察の協力のもと内偵を進めるなど、市の権限や能力だけでは必ずしも十分でない部分については警察や弁護士等の専門家の力も借りて対応しています。行政が権限に基づいて厳正な処分を下す際には必要不可欠なプロセスですので、ご理解いただければと思います。

最後に、2日目の報道の中で、いかにも私が不祥事対策を諦めているかのような表現がありましたが、これについて述べておきたいと思います。当日のインタビューでは、「不祥事が一切ないという組織は逆に疑ったほうが良い。行政だけでなく民間も含め、組織という組織には必ず不祥事の種があると私は思う。これはイジメ問題も同じ。無くて当たり前と考えるのではなく、あってもおかしくないと考えるべき。学校も役所も無謬性の神話があり、問題は絶対にあってはならないという暗黙の了解がある。だから問題が起きても見て見ぬフリをしたり、闇に葬ることになる。大事なことは問題が起きた時にどう対応するかだ。」という主旨で答えました。その話題の流れの中で「不祥事をゼロにするのは不可能である」と匙を投げたように伝わってしまったことについては反省しています。当然、不祥事はゼロにしなければならないし、ゼロの状態を維持するために最大級の努力をするのは当然のことだと考えています。

今回の事案については、上記のように些か繊細な部分もありますが、引き続き慎重に調査を行い、当然のことながら明らかな問題があれば厳正に対処して参りたいと思います。

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